にこ~るブログ
2020.03.06
NHK手話放送プロジェクトに、ろう通訳として出演しました!(1)~おはなしのくに編~

 2月19日(水)にNHKのハートネットTVにて「手話で楽しむみんなのテレビ!“昔話法廷“ 編」が放送されました。 ご覧になってくださった皆様、ありがとうございました。

 

 実は、昨年夏に放送された「手話で楽しむみんなのテレビ!」の「おはなしのくに編」、「ドキュメント72時間編」、そして「“昔話法廷” 編」に、当社の社員である寺澤が、ろう通訳として出演しておりました。

 今回は寺澤に、ろう通訳について話を聞きました!

 

 3回に分けて記事を掲載します。第1弾は「おはなしのくに」でのろう通訳についてのお話です。

《リンク》ハートネットTV選「手話で楽しむみんなのテレビ!~おはなしのくに編~」→https://www.nhk.or.jp/heart-net/program/heart-net/1117/

※リンク先は「おはなしのくに」本編の写真しか載っていないため、寺澤は映っていません。

 

【ろう通訳の方法】

 ろう通訳は、フィーダー(※1)と呼ばれる人の手話を見て通訳をします。講演会等、生でろう通訳をやる場合は、より分かりやすい表現に言い換えながら通訳をしていきます。

(※1)フィーダー…ろう通訳者に起点言語(※2)情報を送る人。起点言語を目標言語(※3)でろう通訳者がわかる情報をコンパクトに伝える役目の人。

例えば、音声日本語(起点言語)を聴者のフィーダーが日本手話(目標言語)でろう通訳者に伝え、ろう通訳者が日本手話で通訳するという方法で行なう。また、国際手話(話者)→日本手話(フィーダー)→日本手話(ろう通訳)という形で、ろう者がフィーダーを行なうこともある。

(※2)起点言語…翻訳において、翻訳される前の原文の言語。話者が話す言語。

(※3)目標言語…翻訳された後の訳文の言語。話を聞く人が分かる言語。

 

 

【NHKで行なったろう通訳の方法】

 「おはなしのくに」の撮影の時は、スタジオで司会の隣に立って通訳する方法と、VTRの中にワイプ(※4)で登場して通訳を行ないました。

 スタジオでは、カンペ(予め話す事が書かれている)の内容と、フィーダーが補足して伝えてくれた内容(例えば、司会がアドリブでお話しされたこと等)を見て通訳しました。

(※4)ワイプで通訳した時の詳細は第2弾でお話いたします。

 

【スタジオ収録で大変だったところ】

 収録はVTRに入るまでの間の話す時間が決まっているため、手話が早すぎても遅すぎてもダメでした。そのため、司会と話すタイミングを合わせる(※5)ために手話の表現をどうするのかという事を、事前に沢山打ち合わせしました。

 また、スタジオ内にはカメラが3台あり、撮影を行なっているカメラは赤いランプが点灯します。

 撮影するカメラを切り替える時、聴者はランプが光っているカメラに目線を向けるだけで対応可能ですが、私の場合はフィーダーが視界に入っていないと通訳ができないため、目線を向けるカメラの後ろにフィーダーに移動してもらいながら撮影をしていました。

 しかし、カメラの切り替えは流れるようにして行なわれていたため、フィーダーが撮影中のカメラの後ろに移動するのが大変でした。そこで、カメラの切り替えがある度カットして、フィーダーが次に撮影するカメラの後ろに移動した後に撮影再開するという方法に変わりました。

(※5)日本語では長く説明が必要な部分が、手話では短く表現できてしまうこともあるため、話し終えるタイミングにズレが生じてしまう。

 

 スタジオ入りして、メイクをして、事前打ち合わせを行ない、撮影……と、ほぼ一日仕事でした。撮影を終えたころには夕方になっていました。

 

第2弾「ドキュメント72時間編」に続く