- 2020.08.20
- 『ろう者のトリセツ 聴者のトリセツ』
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御盆が明けましたが、地域によっては40度を超す気温の場所もあり、まだまだ暑い日が続きそうですね。命に係わる暑さですので、家の中にいても水分補給や冷房をつけることを忘れずに夏を乗り切りましょう。
さて、手話を学習している聴者の方で、ろう者と話していて「あれ?」と思うことがあった方もいるのではないでしょうか?例えば待ち合わせをしていた時、ろう者に待ち合わせ時刻を「2時10分前」と伝えたのに、時間になっても来ない。……ということがありませんでしたか?
それは、そのろう者がルーズなのではなく、「2時10分前」という言葉の認識のズレから起きているのかもしれません。
今回のにこ~るブログでは、ろう者と聴者の言葉の認識のズレについて書かれている書籍、『ろう者のトリセツ 聴者のトリセツ』についてお話いたします。
『ろう者のトリセツ 聴者のトリセツ』は上記のような、ろう者と聴者の言語の違いからくる認識のズレを丁寧に説明してくれている画期的な本です。
例えば、先ほどの「2時10分前」の例で言うと、本書の「2時10分前」の解説部分に、『聴者が言いたい「2時10分前」は2時の10分前、つまり「1時50分」のことです。ところが、聴者が手話で「2時10分前」とあらわすと、「2時10分の少し前」という手話表現になっていることがよくあります。そのためろう者は、「2時10分の少し前、つまり2時5分~9分にいけばいいんだな」という解釈をするのです。FAXやメールならなおさらかもしれません。』(本書P.68より)という文が載っています。
日本語と日本手話の違いからくるズレのため、本書は聴者だけでなく、ろう者の皆さんにも聴者がどういう認識で言葉を発したか、あるいは受け取ったかが分かります。
例えば「黒っぽい本を持ってきて」と伝えたのに、聴者が「ねずみ色」や「濃い藍色」といった指定した覚えのない色の本を持ってきた、なんてことはありませんか?
本書の「~っぽい」の部分を見てみると、『「黒っぽい」という言葉を聞くと、聴者は「ねずみ色」や「濃い藍色」など暗い色をイメージします。しかしろう者のイメージする「黒っぽい」は「真っ黒」という意味です。』(本書P.58より)という解説が載っています。
この二つの例を見ただけでも、聴者(日本語)とろう者(日本手話)の間でズレがあることはお分かりいただけると思います。
『ろう者のトリセツ 聴者のトリセツ』商品紹介ページ
https://www.wp-shop.net/shopdetail/000000000003/ct5/page1/recommend/
他にも、ろう者と聴者の間で誤解を招きやすい言葉が沢山載っていて、それぞれがどういう意味で使用しているのかが解ります。『ろう者のトリセツ 聴者のトリセツ』を読んで、「もしかしたら、あの時誤解していたのかも!」ということに気が付けるきっかけになるかもしれません。
また、本書に載っていないことでも、「あれ?」と思った時には、お互いに確認してみることも大切ですね。