- 2021.10.15
- 『日本手話で学ぶ 手話言語学の基礎』
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今回のにこ~るブログは、久々に手話学習の書籍をご紹介いたします。松岡和美著『日本手話で学ぶ 手話言語学の基礎』です。
手話を「言語学」という角度から分析、まとめた書籍です。聴者が手話学習する上で「難しい」と感じることの多いCL(※1)やRS(※2)について詳しく知ることができます。また、他の手話学習関連の書籍には載っていない、ろう児の手話言語発達についても書かれています。
本書の著者である松岡和美氏は想定している読者を、「『言語学の基本知識を持たない』『手話言語学の基本を勉強したい』ろう者と聴者です。」と本書P.7『はじめに』に書いています。
ですので、「普段当たり前のように話している手話について、違った角度で学んでみたい!」というろう者や、「文法書よりも細かく、詳しく手話について知りたい!でも手話言語学まで行ってしまうと、ちょっと難しそう……」という聴者にお薦めです。
(※1)…Classifierの略。物の形や材質、大きさや動きなどを表すものです。(中略)細長いもの、薄いもの、厚みのあるものなど、CLに決まった表しかたがあります。(『日本手話のしくみ 練習帳』NPO法人バイリンガル・バイカルチュラルろう教育センター 編 岡典栄、赤堀仁美 著P.54より)
(※2)…話者が「現在の自分」以外の人物の考えや行動を引用して伝える表現です。ロールシフトまたはレファレンシャルシフトと呼ばれます。(『日本手話で学ぶ手話言語学の基礎』松岡和美著P.107より)
本書はあくまでも、手話言語学の「入門書」です。本書をきっかけに手話言語学についてより詳しく知りたくなった方は、本書内の「もっと詳しく知りたい人のために」のコーナーや、引用文献リストに載っている専門書をお手に取ってみてください。
【DVD感想】
DVDに字幕はついていませんが、画面上にスライドがあり、その内容に合わせて手話で説明がされていくので、表現されている手話が、「何のテーマ」の「どの部分」について話されているのかが分かるようになっています。
まるで、大学で本書を教科書にして、ろう者の教授が教えている手話言語学の授業を履修しているような気分になります。
「日本手話で学ぶ 手話言語学の基礎」商品紹介ページ